歯科医が書いた総合ガイド

入れ歯(義歯) 完全ガイド
種類・費用・インプラント入れ歯(義歯)まで

「入れ歯は不便だ」という認識は昔の話です。精密な技工技術とインプラント結合型の入れ歯が進歩し、良く作られた入れ歯は天然歯の70〜80%程度の咀嚼力を回復させます。ソウルBD歯科の補綴科専門医が、部分入れ歯・総入れ歯・インプラント入れ歯のすべてを整理しました。

ソウルBD歯科 医療陣 執筆 2026.05 更新 読む時間 約12分

01入れ歯(義歯)とは何か

入れ歯(義歯, denture)は、欠損した歯と周囲の歯ぐき組織を人工的に置き換える着脱式の補綴装置です。

入れ歯の医学的名称は 可撤性義歯(removable denture)です。患者さまご自身で着脱できる補綴物である点から、セメントで固定するクラウン・ブリッジ(固定性補綴)や骨に埋入するインプラントと区別されます。

入れ歯は単に「失った歯を補う道具」ではありません。歯の喪失は時間の経過とともに歯槽骨が吸収され、顔貌が変化し、発音と咀嚼機能まで低下させます。よく設計された入れ歯は 咀嚼機能、発音、顔貌(顔の輪郭)の回復という3つの役割を同時に果たします。

入れ歯(義歯)の主な構成

構成要素役割材料
人工歯咀嚼機能+審美性の回復レジン、陶材(ポーセレン)
義歯床(ベース)歯ぐきに直接触れる部分、人工歯を固定アクリルレジン、メタルフレーム
クラスプ(留め金)部分入れ歯(部分義歯)を残存歯に固定金属(コバルトクロム、金+プラチナ)、精密アタッチメント
維持装置インプラント入れ歯(義歯)でインプラントと連結ロケーター、ボールアタッチメント、バー(bar)

02入れ歯(義歯)の種類比較

残っている自然歯の本数や歯ぐきの状態、患者さまのご予算に応じて、5つの主要な入れ歯(義歯)オプションがあります。

種類適応対象長所短所
総入れ歯(総義歯) (Complete Denture)歯が1本もない無歯顎最も経済的で、低侵襲です咀嚼力は自然歯の20~30%、安定性が低いです
部分入れ歯(部分義歯) (Partial Denture)一部の自然歯が残っている場合総入れ歯より安定し、自然歯を保存できますクラスプ(留め金)が見えることがあり、残存歯に負担がかかります
精密アタッチメント部分入れ歯(部分義歯)審美性を重視する部分入れ歯の患者さまクラスプが見えず、安定性に優れます費用が高い(150万ウォン〜300万ウォン(約16.3万〜32.7万円))、残存歯にクラウンが必要です
インプラント・オーバーデンチャー (2~4本のインプラント)総入れ歯が動いてしまう無歯顎の患者さま咀嚼力は自然歯の60~70%、安定性が大きく向上しますインプラント費用追加(300万ウォン〜600万ウォン(約32.7万〜65.4万円))
インプラント固定式補綴 (All-on-4/6)完全な回復を希望する患者さま咀嚼力は天然歯の70~80%、天然歯のような感覚です費用は最も高いです(片顎 1500~3000万ウォン(約163.5万〜327万円))

入れ歯(義歯)とインプラントの比較

インプラントが全ての面で優れているように見えますが、患者さまの状態によっては入れ歯(義歯)の方が適している場合が多いです.

インプラント・オーバーデンチャー — 中間地点の解決策です

総義歯で最も多い不満(ぐらつき・ゆるみ)を、2~4本のインプラントで解決したのが インプラント・オーバーデンチャーです。費用は全顎インプラントの1/3~1/5、咀嚼力は通常の入れ歯(義歯)の2~3倍です。65歳以上の方はインプラント2本に限り韓国の保険適用となり、自己負担率30%で受けられるため、費用対効果の面で最もおすすめの選択肢です。

03入れ歯(義歯)の費用(2026)

入れ歯(義歯)は満65歳以上の場合、韓国の保険適用となり自己負担率30%で受けられます。

韓国の保険適用(65歳以上、7年に1回)

種類保険適用 総額自己負担率30%(一般)自己負担率5%(次上位)
レジン製総義歯約100万ウォン(約10.9万円)約30万ウォン(約3.3万円)約5万ウォン(約0.5万円)
金属床総義歯約120万ウォン(約13.1万円)約36万ウォン(約3.9万円)約6万ウォン(約0.7万円)
レジン製部分義歯約130万ウォン(約14.2万円)約39万ウォン(約4.3万円)約6.5万ウォン(約0.7万円)
金属床部分義歯約150万ウォン(約16.4万円)約45万ウォン(約4.9万円)約7.5万ウォン(約0.8万円)
インプラント・オーバーデンチャー(インプラント2本に限定)インプラント1本あたり約120万ウォン(約13.1万円)+オーバーデンチャー別途インプラント1本あたり約36万ウォン(約3.9万円)約6万ウォン(約0.7万円)

自由診療(65歳未満または保険外オプション)

韓国の保険適用 入れ歯(義歯)申請資格

満65歳以上で、部分または完全無歯顎の方であれば 国民健康保険公団に登録後、7年に1回 保険適用が可能です。紛失・破損時に7年以内の再製作は自己負担100%ですが、天災・口腔がん手術などによる場合は例外が認められます。インプラント オーバーデンチャーは生涯でインプラント2本までのみ保険適用となります。

費用は医療機関、使用材料、義歯の精密度により異なります。正確な自己負担額は診断後のご相談時にご案内いたします。

04入れ歯(義歯)製作の流れ

入れ歯(義歯)の製作は通常4〜6回の来院、約3〜6週間ほどかかります。

1回目:診断および印象採得(約30〜40分)

口腔検査、パノラマX-ray、歯ぐきの状態確認。既存の歯・歯ぐきの状態で抜歯が必要な部位がある場合は先に処置し、歯ぐきが回復(約4〜8週)してから本格的な製作を開始します。一次アルジネート印象を採得して、患者さま専用の個人トレーを製作します。

2回目:精密印象の採得(約30〜40分)

1回目に製作した個人トレーで精密印象を採得します。歯ぐき周囲の筋肉の動きまで反映する「ボーダーモルディング(border molding)」工程を経て、入れ歯(義歯)の安定性と封鎖力を左右する最重要の段階です。

3回目:咬合採得(約30分)

ワックスリム(wax rim)を用いて上下顎の正確な咬合関係、唇の支持、スマイルライン、正中線を決定します。患者さまの顔貌や発音に直結する段階であり、補綴医の臨床経験が最も重要な段階の一つです。

4回目:試適(try-in)(約30〜40分)

ワックスで人工歯を配列した仮の入れ歯(義歯)を口に入れて、顔貌・発音・咬合・審美性を確認します。患者さまご自身が鏡で直接確認し、ご意見を反映して修正します。この段階で十分に調整することで、完成品の満足度が高まります。

5回目:最終装着(約30〜40分)

完成した入れ歯(義歯)を装着し、咬合調整、圧痛点のチェック、使用方法・管理方法のご説明を行います。

6回目以降:アフター調整(約15〜30分、2〜4回)

装着後は1週、2週、4週など定期的に来院し、圧痛点の調整や咬合の微調整が必要です。歯ぐきは新しい入れ歯(義歯)に適応する過程で微細に変化するため、アフター調整は必須です。

なぜ「一度で早く」はできないのでしょうか?

各工程の間に技工所で1〜2週間の製作時間が必要です。また、歯ぐきは生体組織であるため、段階ごとに十分に適応し調整を行ってこそ最終的な満足度が高まります。「3日で作れる」といった広告は、アフター調整や精密度に大きな差が生じる可能性があるため、慎重なご判断が必要です。

05入れ歯(義歯)の適応期間と痛み

新しい入れ歯(義歯)に完全に慣れるまで、平均2〜4週、長い場合は2〜3カ月かかることもあります。

適応期間の一般的な経過

時期一般的な症状管理のポイント
1〜3日異物感、唾液が多い、発音がぎこちない、一部に圧痛やわらかい食事、細かく切って食べる
4〜7日圧痛点の発生 → 1回目の調整が必要我慢せず受診して調整を受ける
2~4週咀嚼機能が徐々に回復し、発音に適応します大きなリンゴ・硬い肉はまだ難しいです
1~3か月ほとんどの食事に適応し、自然に使用できます完全に『自分のもの』という感覚が形成されます

よくあるお困りごととその解決

避けるべき食品(適応初期)

我慢してはいけないサイン

初期の適応期間にみられる軽い異物感は正常ですが、 特定部位に持続的な強い痛みがある、または同じ箇所が擦れて潰瘍ができる場合は圧痛点の調整が必ず必要です。我慢すると歯ぐきがさらに深くただれて回復が遅れます。通常、最初の2週間は週に1~2回程度、調整のための来院が必要になる点をあらかじめご承知おきください。

06入れ歯(義歯)のケア方法

入れ歯(義歯)は天然歯よりも丁寧なケアが必要です。誤った管理は義歯性口内炎、口臭、歯槽骨の吸収を加速させます。

毎日行うケア

週1~2回行うケア

やってはいけないこと

定期検診

07インプラント入れ歯(オーバーデンチャー)

既存の総入れ歯にインプラントを2〜4本追加して、安定性と咀嚼力を大きく高めた補綴です。

インプラント オーバーデンチャー(Implant Overdenture)は完全無歯顎の患者様に最も推奨される補綴オプションの一つです。総入れ歯は真空吸着と歯ぐきの形態のみに依存するため、時間の経過とともに緩んで動揺しやすいですが、インプラントが補綴物を歯槽骨に直接固定することで、安定性が飛躍的に向上します。

インプラント本数による違い

区分安定性咀嚼力費用(片顎)
総入れ歯(インプラント0本)低い天然歯の20〜30%約100万〜150万ウォン(約10.9万〜16.3万円)
インプラント2本+オーバーデンチャー中等(韓国の保険適用)天然歯の50〜60%約400万〜700万ウォン(約43.6万〜76.3万円)
インプラント4本+オーバーデンチャー高い天然歯の60〜70%約800万〜1200万ウォン(約87.2万〜130.8万円)
インプラント4〜6本 固定性(All-on-4/6)非常に高い天然歯の70〜80%約1500万〜3000万ウォン(約163.5万〜327万円)

インプラント・オーバーデンチャーの利点

デメリットと留意点

総入れ歯がぐらついて噛めずお困りのご両親がいらっしゃるなら

総入れ歯(総義歯)使用者の約60%以上が「食べ物を噛みにくい」と回答しています。歯槽骨の吸収により時間が経つほどいっそうぐらつきますが、このとき最もコストパフォーマンスの高い解決策がインプラント2本を追加したオーバーデンチャーです。65歳以上はインプラント2本に限り韓国の健康保険が適用され、自己負担率30%で受けられます。平均で約70万ウォン(約7.6万円)ほどの自己負担で、食事の質が大きく変わる選択肢です.

08よくあるご質問

入れ歯(義歯)について患者さまから特によくいただくご質問をまとめました。

Q.入れ歯(義歯)は満65歳未満でも韓国の健康保険で受けられますか?

原則として満65歳以上にのみ韓国の健康保険が適用されます。ただし、口腔がん・顎顔面外傷などによる多数歯欠損の場合は別途の算定特例の対象となることがありますので、受診時にご相談ください。65歳未満の一般の方は自由診療となります。

Q.入れ歯(義歯)にどうしても慣れません。インプラントに替えることはできますか?

はい、可能です。ただし、歯槽骨の状態や全身の健康状態によっては、すべての方がすぐにインプラントへ切り替えられるわけではありません。歯槽骨が大きく吸収している場合は骨移植(GBR)を併用することがあります。また、いきなりインプラントに移行するよりもインプラント・オーバーデンチャー(インプラント2~4本+入れ歯[義歯])が、費用・適応・機能のすべてで良い折衷案になります。まず精密検査でご自身の状態を確認されることをおすすめします。

Q.入れ歯(義歯)をつけたまま寝てもよいですか?

おすすめしません。夜間は歯ぐきが休む時間が必要で、つけたまま寝ると義歯性口内炎(カンジダ真菌感染)・歯槽骨吸収の加速・口臭が生じることがあります。就寝前に歯みがき後、入れ歯(義歯)を外して水または義歯保管液に浸しておくのが標準的な推奨です。

Q.入れ歯(義歯)がたびたび外れますが、接着剤(入れ歯安定剤)を使ってもよいですか?

一時的な対処としては使用可能ですが、入れ歯用接着剤は根本的な解決策ではありません。頻繁に外れるのは、歯槽骨が吸収して義歯がゆるくなっているサインです。歯科を受診してリライニング(relining)で義歯の内面を歯ぐきの形に合わせて新たに裏装するか、吸収が強い場合は再製作またはインプラント・オーバーデンチャーへの移行を検討すべきです。

Q.入れ歯(義歯)の寿命はどのくらいですか?

適切に管理すれば平均 5~7年 使用可能です。ただし、歯槽骨は時間の経過とともに吸収されるため、義歯自体に問題がなくても義歯と歯ぐきの間がゆるくなり、リライニングや再製作が必要になります。韓国の健康保険の適用サイクルである7年が平均寿命の目安となります。

Q.インプラント オーバーデンチャーは、一般的なインプラントとどう違いますか?

インプラント埋入後、その上に 固定式補綴(クラウン・ブリッジ)を装着すれば一般的なインプラント、 着脱式の入れ歯(義歯)を連結するとオーバーデンチャーです。オーバーデンチャーは、食後に外して清掃できるため衛生管理が容易で、インプラント本数が少なく費用も抑えられます。ただし、天然歯のような安定感は固定式補綴のほうが優れます。患者さまの歯槽骨の状態、費用、衛生管理の能力に応じて選択します。

入れ歯(義歯)について、さらにご不明な点はありますか?

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