矯正の検診は満7歳、ただし全員が早期に治療するわけではありません

矯正の検診は満7歳、ただし全員が早期に治療するわけではありません
先週、診療室に8歳のお子さまとお母さまが来院されました。お母さまが心配そうにお尋ねになりました。「院長先生、お隣のお子さんはもう矯正を始めたそうですが、うちも早くやった方がいいのでしょうか。遅れるとよくないと聞いて…」結論から申し上げると、満7歳で矯正の検診を受けることは推奨されますが、すべてのお子さまがその時にすぐ治療を始める必要があるわけではありません。早く診ることと、早く治療することは別です。これは当院でも少なくない頻度でいただくご質問です。
まず、保護者の皆さまに覚えておいていただきたい点を整理します。第一に、矯正の検診時期と治療開始時期がなぜ異なるのか。第二に、早期治療が本当に有効な場合と、待った方がよい場合の見分け方。第三に、保護者の方が何を基準に判断すべきか、です.
小児矯正(早期矯正・第1期矯正): 永久歯が完全に生えそろう前、乳歯と永久歯が混在する時期(通常は満6~10歳)に、成長中の顎や歯の問題を先回りして整える治療です。すべての子どもに必要なわけではなく、特定の問題がある場合に有用です。
矯正はいつ始めればいいですか?
最も多いご質問ですので、まず結論からお伝えします。
まず、検診と治療を区別して考える必要があります。 米国矯正歯科学会(AAO)は満7歳に初回の矯正検診を推奨しています。ただし、これは「満7歳で矯正を始めなさい」ということではなく、「満7歳の時点で一度評価を受けてみましょう」という意味です。
満7歳ごろになると最初の永久臼歯と前歯が生え始め、矯正専門医が初めてお子さまの歯と顎の発育の方向性を評価できます。この検診では、多くのお子さまが「今は経過観察とし、永久歯が生えそろって必要であれば治療しましょう」という結論になります。一部のお子さまだけが「今、介入した方がよい」という判断になります。
ここで誤って広まった常識を一つ正しておきます。「矯正は早く始めるほど良い」という考えは、半分だけ正解です。 早期治療が明らかに役立つ特定の問題もありますが、逆に永久歯がすべて生えた後に行う方が効率的な場合も多いのです。すべてのお子さまに早期治療が正解というわけではありません。
短くまとめると、こうです。 子どもの矯正をいつ始めるかを最も強く左右するのは、お子さまの年齢ではなく、どの種類の不正咬合かという点です。

早く診ることと、早く治療することは別です
これが、この文章から保護者の皆さまに持ち帰っていただきたい最も重要な考え方です。
満7歳検診の目的は 問題を早期に見つけることであり 早く治療することではありません。検診では矯正専門医が次の点を判断します。
- 今すぐ介入が必要な問題があるか
- 今は経過を見て、永久歯が生えそろってから治療すべき問題か
- 矯正が不要か
大多数のお子さまは2番に当てはまります。つまり、満7歳で検診は受けても、実際の治療は永久歯がほぼ生えそろう満11~13歳ごろに開始することが多いのです。
当院で保護者の方にお伝えしている一言があります。 満7歳の矯正検診は、治療を始める場ではなく、このお子さまがいつ治療すべきかを決める場です。検診を受けたからといって、すぐ装置を入れるわけではありません。
早期治療が有効なケース
では、どのような場合に早期介入(第1期矯正)が役立つのでしょうか。研究でも早期治療の利点が明確とされるのは、次のようなケースです 1.
- 臼歯部の交叉咬合— 上顎が狭く、上下の奥歯がずれて咬み合うケース。成長期に上顎を拡大すると効果的です。
- 骨格性3級不正咬合(受け口傾向)— 下あごが上あごより前に出ている場合。上あごの成長を促す治療は、幼い時期の成長を活用できるため、早期の介入が有効です.
- 強く突出した前歯— 上の前歯が大きく前方に出ている場合(overjet 5mm 超)、外傷のリスクが2倍以上に高まります。満7〜14歳の間の前歯の突出は、ぶつけて欠ける危険が高いため、早期介入が外傷予防に役立ちます.
- 著しいスペース不足— 永久歯が生える場所が大きく不足している場合、第44編で扱ったスペースの保持や拡大で、あらかじめ場所を確保できます.
- 吸う癖による開咬(オープンバイト)— 第48編で扱った指しゃぶりなどにより生じた前歯の開咬。癖をやめ、幼い時期に介入することで自然な改善と相まって効果的です.
このような場合は 成長期の成長を活用できるため、早期介入が大いに役立ちます。成長が終わってからは、同じ問題を手術で解決しなければならない場合もあります.
もう一点だけ補足します。 早期矯正の本当の価値は、歯を早く並べることではなく、成長期の成長を活用して顎の骨の問題を正せる点にあります.
待つほうがよい場合
一方で、多くの一般的な不正咬合は、永久歯が生えそろってから治療するほうが効率的です.
代表的には、**歯並びが単にデコボコしているだけの場合、軽い前歯の突出(2級不正咬合)**は、永久歯がほぼ生えそろい思春期の成長スパート(満11〜13歳)の時期に治療するほうが効率的なことがあります.
ここで正直にお伝えしたいことがあります。 2級不正咬合に関しては、早期治療が遅い時期の治療よりも追加の利益をもたらすという根拠は十分ではありません.ある系統的文献レビューは、11歳以前の早期治療が遅い治療より良好な結果をもたらすという根拠は乏しいと結論づけました [Is orthodontics prior to 11 years of age evidence-based?, 2015, Journal of Dentistry].
早期治療はしばしば**二期治療(1期+2期)**となり、幼少期に一度、永久歯が生えた後にもう一度行うことになります。この場合、費用と治療期間、お子さまの負担が増えます。1回で完結できるなら、そのほうがよい場合が多いです.
| 区分 早期介入が有効 待つのが効率的 | ||
| 奥歯の交叉咬合 | ✓ | |
| 受け口傾向(3級) | ✓ | |
| 前歯の強い突出(外傷リスク) | ✓ | |
| 著しいスペース不足 | ✓ | |
| 吸う癖による開咬 | ✓ | |
| 単純な歯のデコボコ | ✓ | |
| 軽度の2級不正咬合 | ✓ |
この表が保護者の方にお伝えしたい要点は単純です。 顎の骨の成長に関わる問題は早期介入が有効で、単に歯列の問題は永久歯が生えそろってからのほうが効率的です。ですので、満7歳の検診でどちらに当てはまるかを判断することが重要です.
過度に心配なさる必要はありません。保護者の方が「お隣の子はもう矯正しているのに、うちの子はしなくて大丈夫?」と不安に思う必要はありません。お子さま一人ひとりで不正咬合の種類が異なり、それに応じて適切な治療開始時期も異なります. ほかの子が早く始めたからといって、うちの子もそうすべきという意味ではありません.お隣のお子さんは早期介入が必要なタイプで、うちの子は待つほうがよいタイプかもしれません.
ご家庭で気づけるサイン
満7歳での検診を推奨しますが、それ以前でも次のサインが見られたら早めにご相談ください.
- 下あごが上あごより前に出て見える(受け口傾向)
- 上の前歯が大きく前に出ている
- 口を閉じても上下の前歯が当たらず隙間がある(開咬)
- 噛むときに下あごが片側へずれる(交叉咬合)
- 乳歯がむし歯で早く抜けてしまった(第44編参照)
- 満4歳以降も続く指しゃぶり(48編参照)
- 永久歯が生えるスペースが著しく不足しているように見えます
このようなサインがあれば満7歳を待たずにご相談いただいて大丈夫です。とくに顎の成長に関わるサイン(受け口・交叉咬合)は、早く診るほど良い結果につながります。
当院の症例を2例
8歳のお子さま。お母さまが「お隣の子が矯正を始めていて」とご心配で来院されました。検診の結果、歯がややデコボコしている程度で、顎の骨の問題はありませんでした。永久歯が生えそろってから、必要であれば1回でまとめて治療するほうが効率的とご案内しました。 すべてのお子さまが早期治療を必要とするわけではありません。
7歳のお子さま。検診の結果、上顎が狭く、臼歯部に交叉咬合がありました。成長期に上顎を拡大することが効果的なケースのため、早期介入をお勧めしました。上顎拡大後、交叉咬合は改善し、永久歯もより良い位置に生えてきました。 顎の成長に関わる問題は、早期に介入することが大いに役立ちます。
保護者の方にぜひ覚えておいていただきたい5つのポイント
- 矯正の検診は満7歳が目安。ただし、検診と治療は別物です。満7歳で評価を受けつつも、多くは永久歯が生えた後に、必要であれば治療します。
- 「早く矯正するほど良い」というのは、半分だけ正しい考え方です。」早期介入が有用な問題と、待ったほうが効率的な問題は別々にあります。
- 顎の成長に関わる問題(交叉咬合・受け口・強い前突)には、早期介入が大きな助けになります。成長期の発育を活用できるためです。
- 単純な歯のデコボコ・軽い2級の不正咬合は、永久歯が生えた後のほうが効率的です。早期治療を行うと2段階となり、負担が増えることがあります。
- ほかの子が早く始めたからといって、わが子も同じようにすべきとは限りません。お子さまごとに不正咬合の種類も、適切な開始時期も異なります。
ソウルBD歯科 院長のムン・ソクジュン(文錫俊)です。保護者の方が「早くしないと遅くなる」という不安から、すべてのお子さまに同じ時期を当てはめてしまわないように、という思いで書きました。満7歳での検診は、お子さまに合った治療開始の時期を見極めるためのものであり、その時に必ず治療を始めるという意味ではありません。
参考文献
この記事の医学的主張は以下の論文に基づいています。DOIをクリックすると原文に移動します。
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Children DOI: 10.3390/children12111533