顎関節(TMJ)障害、いつ受診すべきでどんな検査をするのですか

顎関節(TMJ)が痛いときはまずMRIを撮るべきですか — 受診前に知っておきたいこと
30代後半の患者さまが、検索結果のスクリーンショットをたくさん持って来られました。「先生、顎で音もして、ときどき痛むのですが、インターネットを見るとMRIは必ず撮るべきとあって……大きな病気ではないでしょうか?」ご心配の面持ちでした。私はまずこうお伝えしました。「多くはお話を伺い、実際に触って診るだけでかなり分かります。画像は必要なときにだけ追加します。」
これまでこのシリーズで顎関節(TMJ)のお話を5回してきました。音、歯ぎしり、ロック、痛みと運動、頭痛・耳の症状まで。今回の記事は、すべての場面で最終的に向き合うことになる「では、いつ受診し、どんな検査をするのか」という問いを整理します。患者さまにまずお伝えしたいのは3つです。第一に、先延ばしにせず受診すべきサイン。第二に、どの診療科で何をするのか。第三に、大がかりな画像検査が本当に必要な場合とそうでない場合です.
まず用語から整理します。
顎関節(TMJ)障害の診断: 主に問診(症状についての聞き取り)と直接の診察で行い、画像検査は必要なときにのみ追加する流れです。
顎が痛いとき、いつ受診すべきですか?
軽い音や一時的なだるさ程度なら、生活の工夫で様子を見ても大丈夫です。ただし、次のサインがあれば先延ばしにせず受診をおすすめします。
- 急に、指2本も入らないほど口が開かなくなったとき— 関節が引っかかった(ロックした)状態の可能性があり、急性期ほど早期対応が有利です。
- 口が閉じられないとき(顎の脱臼)— ロックとは逆の緊急事態で、ただちに受診が必要です。
- 痛みが数週間たっても引かず、むしろ強くなっているとき— 正常な経過であれば多くは徐々に改善します。
- 痛みで噛みにくく、食事や体重に支障が出ているとき— 機能低下は様子見の対象ではありません。
- ぶつけたりケガをした後に、痛みや咬み合わせの感覚が変わったとき— 外傷後の変化は確認が必要です。
- 顔が腫れて熱が出る、あるいは耳から膿が出るとき— 感染など他の原因をまず除外する必要があります。
- 急な聴力低下・破裂しそうな最悪の頭痛・手足のしびれを伴うとき— 耳鼻咽喉科・神経内科など、該当の診療科を先に受診してください。

どの診療科に行けばよいですか?
顎関節(TMJ)障害は歯科で診ます。特に顎関節や咀嚼筋、顔面痛を主に扱う口腔内科が代表的です。ただし上の7番のように、感染・緊急性のある頭痛・急性の聴力低下が疑われる場合は、耳鼻咽喉科や神経内科で危険な原因を先に除外するのが順序です。前のコラムでもお伝えしたとおり、耳や頭の症状は、本当の耳・脳の問題を除外してから顎を診るべきです。
診療室ではどんな検査をしますか?
大きな機械を思い浮かべがちですが、実際に最初に行うのはお話と手による診察です。
診療はおおむね次のように進みます。いつからどのように痛むのか、音・ロック・歯ぎしりの習慣があるかを詳しく伺います。次に、口が何ミリ開くかを定規で測り、開口時に歪みがないかを見ます。こめかみや頬の咀嚼筋、耳の前の関節を指で押して圧痛部位を探し、開閉時の音を確認します。これだけでも、痛みが筋肉由来か関節由来か、ロックがあるかどうかをかなり判断できます。
実際、国際的な診断基準では、疼痛性の顎関節(TMJ)障害は問診と診察だけで妥当に診断でき、特に開口障害(ロック)は画像なしでも臨床診察で高い正確度(感度 80%、特異度 97%)で見分けられると整理されています。関節内部の構造まで確定する必要がある場合にのみ、CTやMRIといった画像を追加するとしています 1.
MRIやCTは必ず撮るべきですか? — いつ、どんな画像が必要か
ここで誤解を一つ整理します。「顎が痛ければ、まずMRIやCTを撮るべき」— それは半分だけ正しいです。
顎関節(TMJ)の診断で最も大切なのは、高価な画像1枚ではなく、いつからどのように痛むのかという患者さまのお話と直接の診察です。画像は、その結果が治療方針を変えるときにのみ意味があります。どの画像で何が分かるのかを整理します。
| 比較項目MRICT・CBCT | ||
| 何をみますか? | 関節内の軟骨のクッション(ディスク)などの軟部組織 | 関節の骨の形状・摩耗・変形 |
| どんな場合に? | ロッキングや関節円板(ディスク)の問題を確定し、治療方針を切り替える必要があるとき | 骨の変化・関節炎・外傷が疑われるとき |
| ほとんどの患者さんは? | 初期はたいてい不要です | 初期はたいてい不要です |
つまり、音だけがする、または痛みが軽い初期段階であれば、画像検査を行わず診察と生活管理から始めることが多く、保存的治療に反応がない場合やロッキング・外傷・骨の変化が疑われるときに画像検査を追加するのが合理的です。
検査で「大きな異常はない」と言われたのですが、私が大げさに心配しすぎでしょうか?
診療室では「検査をしても大きな異常はないと言われ、私、たいしたことないのに神経質になっているだけでしょうか?」と気まずそうにおっしゃる方が多いです。そうではありません。
顎関節(TMJ)障害は、大きな構造的異常がなくても痛みや不快が生じることのほうがむしろ一般的です。ですから、「構造的に大きな問題はない」という結果は悪い知らせではなく、多くは保存的治療で良くなる可能性が高いという、むしろ朗報に近いものです。症状が作り物だという意味では決してありません。受診をためらう必要はありません。
当院の診療例を2つ
30代後半の女性患者さま。音と軽い痛みで「MRIを必ず撮らないといけませんか」と心配が大きくありました。診察の結果、ロッキングもなく筋肉性の不快が主であったため、画像なしで生活管理から始めました。数週間後に楽になられました。 すべての顎の症状が大がかりな画像検査を必要とするわけではありません。
40代半ばの男性患者さま。数週間のあいだ痛みが強まり、開口量も目に見えて減って受診されました。このケースでは画像検査が役立ちました。関節の状態を確認したうえで、それに合わせて治療方針を決めました。 反応がない、あるいは悪化する場合には、画像検査が治療を切り替える根拠になります。
患者さまにぜひ覚えていただきたい5つのポイント
- 軽い音やこわばり感は経過観察でも構いませんが、ロッキング・増悪する痛み・外傷後の変化は先延ばしにしないでください。
- 口が閉じられない顎の脱臼、感染が疑われる場合、緊急性のある頭痛・急性の聴力低下は、まず該当する診療科から受診してください。
- 顎関節(TMJ)障害は歯科(とくに口腔内科)で診ます。
- 診断は多くの場合、問診と直接の診察から始まります。大がかりな画像検査が常に必要なわけではありません。
- 「大きな異常はない」という結果は、悪い知らせではありません。多くは保存的治療で良くなる可能性が高いという意味です。
ソウルBD歯科 院長 ムン・ソクジュン(文錫俊)です。顎のことで不安を抱えて来院される方へ、検査の前にまず大切なのは、いつ・どのように痛んだのかという患者さまのお話であることをお伝えして、この話題を締めくくります.
参考文献
この記事の医学的主張は以下の論文に基づいています。DOIをクリックすると原文に移動します。
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28(1):6–27 DOI: 10.11607/jop.1151