ホワイトニングのしみが怖くて迷っている方へ

ホワイトニングでしみる症状は、抑えても白さの効果は落ちません
先週、診療室に30代後半の患者さんがホワイトニングのご相談で来院されました。「院長先生、ホワイトニングはしたいのですが、歯がしみないか怖いです。それに、しみ止めを使うと白くなりにくいと聞いたのですが、本当ですか?」患者さんは不安と誤解を同時にお持ちでした。結論から申し上げます。ホワイトニングでしみる症状は抑えることができますし、抑えてもホワイトニング効果は落ちません。診療室でよくいただくご質問です。
このコラムでぜひ覚えていただきたいことを先にまとめます。第一に、なぜしみが起こり、どれくらい続くのか。第二に、しみを減らす検証済みの方法と、その方法がホワイトニング効果を下げないというデータ。第三に、患者さんご自身がホワイトニングの前・最中・後にできることです。
ホワイトニングでしみる症状(ホワイトニング誘発性知覚過敏): ホワイトニング成分が歯の表面を通って内部の神経を一時的に刺激することで生じるしみる感覚。歯のホワイトニングで最も一般的な副作用ですが、ほとんどは一時的で、適切に管理すれば抑えられます。
ホワイトニングをすると、なぜ歯がしみるのですか?
最も多いご質問ですので、結論からお答えします。
ホワイトニング成分(過酸化水素・過酸化尿素)は、歯の表面にある微細な通路(象牙細管)を通って内部に浸透し、着色物質を分解します。その過程で酸素が発生し、この酸素とホワイトニング成分が歯の内部の神経を一時的に刺激します。これがしみる感じの原因です。
重要なポイントは、このしみが 歯が傷んで起こるのではないということです。神経が一時的に刺激を受けた反応にすぎず、歯の構造そのものが壊れたわけではありません。ですから、たいていはホワイトニング直後から24~48時間のあいだに現れ、時間とともに自然に消えます。
ここで、よくある誤解を一つ正しておきます。「ホワイトニングをすると歯が永久的にしみるようになる」という考えは、半分も当たりません。 しみの症状の多くは一時的で、可逆的です。永久的に残るケースはまれです。そして、濃度を低くするほど、適切に管理するほど、しみは減ります。
要点だけ一行でまとめると、こうです。 ホワイトニングでしみる症状は、歯の損傷で起こるのではなく、神経が一時的に刺激を受けた反応です。数日のうちに消え、抑える方法もはっきりあります。

しみを抑えると、ホワイトニング効果は落ちますか?
これが、このコラムで最も大切に持ち帰っていただきたいポイントです。
「しみ止めを使うと白くなりにくい」と誤解されている方が多いです。数字で確かめてみましょう。
硝酸カリウムとフッ化ナトリウムをホワイトニング時のしみに用いたメタ分析で これらの成分は、しみを軽減してもホワイトニング効果(色の変化)には影響を与えませんでした1。ホワイトニング前に硝酸カリウムを塗布した別のメタ分析でも同じ結論でした。しみは減ったものの、白さの効果はそのままでした 2.
ある臨床試験では、5%硝酸カリウムと2%フッ化ナトリウムがホワイトニングによるしみを 半分に減らし、ホワイトニング効果は低下しませんでした。
ここにもう一つ、付け加えます。 しみを抑える硝酸カリウム・フッ素は、ホワイトニング効果を損ないません。しみを我慢することと白さの効果を得ることは、二者択一ではありません。
私たちの診療室で患者さんにお伝えしている一言があります。 「しみが怖いからといってホワイトニングをあきらめる必要も、しみを我慢しながら続ける必要もありません。」しみはコントロールしながら、白さの効果はそのまま得られます。
しみを抑える7つの方法
当院で患者さんにおすすめしている、検証済みの方法です。
- 知覚過敏ケアの歯みがき剤をホワイトニングの2週間前から使用— 硝酸カリウムまたはフッ素を含む歯みがき剤を、ホワイトニング開始の2週間前から使うと、神経の敏感さをあらかじめ下げられます。
- 低濃度のホワイトニング剤を選ぶ— 35%過酸化水素よりも、6%過酸化水素や10%過酸化尿素のほうがしみる症状が少ないです。しみやすい方は、ホームホワイトニング(低濃度)のほうが快適です。
- ホワイトニングの回数と時間を分けて行う— 一度に長時間行うより、回数を分けると神経への刺激が分散します.
- ホワイトニング前後の硝酸カリウム・フッ素塗布— 診療室でホワイトニングの前後に知覚過敏抑制剤を塗布すると、しみる症状が軽減します。ホワイトニング効果はそのままです。
- ホワイトニング直後は熱い・冷たい飲食を避ける— ホワイトニング後の数日は、極端な温度の飲食物がしみる感じを強めます。
- ホワイトニング直後は着色しやすい・酸性の飲食を避ける— コーヒー、炭酸飲料、柑橘類などは、しみる症状と再着色を同時に強めます。
- しみる症状が強ければ、ホワイトニングを一時中断— 我慢できないほどであれば数日休み、神経が落ち着いてから再開します。中断しても、それまでの効果が消えることはありません。
ここは一つ、どうかご安心ください。「もともと歯がしみやすい体質だからホワイトニングは無理」と、最初からあきらめる必要はありません。ふだんしみやすい方でも、上記の方法で症状をコントロールしながらホワイトニングは可能です。ただし、ふだんのしみが強い場合は、その原因(歯ぐきの後退、むし歯、歯の亀裂など)を先に確認しておくと安心です。
ふだんから歯がしみる方は?
この点が重要です。ホワイトニングによるしみと、ふだんのしみは原因が異なる場合があります。
ホワイトニング前からすでに歯がしみているなら、それはホワイトニングではなく別の原因である可能性があります。
| ふだんのしみの原因—ホワイトニング前の確認事項 | |
| 歯ぐきの後退で歯の根元が露出 | 第19回(歯ぐきの後退)参照、歯ぐきの状態をチェック |
| むし歯 | ホワイトニング前にむし歯治療が必要です |
| 歯の亀裂 | ホワイトニング前に亀裂の確認が必要です |
| 摩耗した歯の表面 | 強すぎるブラッシング習慣の見直し |
| 神経治療(根管治療)が必要な歯 | ホワイトニング前に診断が必要です |
このような原因があるままホワイトニングを行うと、しみる症状がより強く出ます。 ホワイトニング前からしみる部位がある場合は、まずその原因の診断を受けるのが安全です。むし歯や亀裂のある歯にホワイトニング剤が浸透すると、しみる症状が強まり、治療が必要になることがあります。
当院でホワイトニング前の検診をおすすめする理由は、まさにここにあります。ホワイトニングは健康な歯に行う処置で、しみる症状の原因が別にある場合は、まずそちらを解決するのが順序です。
ホワイトニング中のしみる症状、どの程度までが正常ですか?
当院で患者さまに事前にご案内している目安です。
正常範囲:
- ホワイトニング直後〜48時間以内に出る軽度〜中等度のしみ
- 冷たい飲食物や空気で一時的にしみる
- 数日以内に徐々に軽くなっていく経過
当院へご連絡いただきたいサイン:
- しみる症状が1週間以上続く場合
- 安静にしていてもズキズキする痛み
- 特定の歯1本だけがとくに強く痛む場合(むし歯・亀裂の可能性)
- 歯ぐきが白く変わったり、ヒリヒリする場合(ホワイトニング剤が歯ぐきに触れた刺激)
特に最後のサイン(歯ぐきの刺激)は、ホワイトニング剤が歯ぐきに触れたときに起こります。薬局やオンラインの製品を、歯ぐきの保護なしで使うと起こりやすいです。この場合はホワイトニングをやめ、歯ぐきが回復するまで待ってください。
当院の症例を二つ
30代後半の女性患者さま。ふだんから歯がややしみるためホワイトニングを迷っておられました。ホワイトニング2週間前から硝酸カリウム配合の歯みがき粉を使用し、低濃度のホームホワイトニングでゆっくり進行。ホワイトニング中のしみはほとんどなく、最終的な色にもご満足いただけました。 しみが心配な方も、準備をすれば快適にホワイトニングできます。
40代前半の男性患者さま。ホワイトニング後、ある歯だけが異様に強くしみると来院されました。診査の結果、その歯に微細なクラックがあり、ホワイトニング剤が浸透したことが原因でした。一般的なホワイトニング時のしみではなく、クラックによるものでした。クラックの治療後、しみはなくなりました. 特定の歯だけがとりわけしみる場合は、ホワイトニングが原因ではなく、その歯に別の問題がある可能性があります。
患者さまにぜひ覚えておいてほしい5つのポイント
- ホワイトニングによるしみは、歯が傷んだために起こるのではなく、神経が一時的に刺激を受けた反応です。ほとんどは24~48時間以内に消えます。
- しみを抑えても、ホワイトニング効果は低下しません。硝酸カリウム・フッ素は、しみを抑えつつホワイトニング効果はそのまま維持されます。
- しみを減らす鍵は、ホワイトニングの2週間前からしみ対策の歯みがき粉を使うこと、低濃度を選ぶこと、回数を分けることです。
- ふだんから歯がしみる方は、ホワイトニング前にその原因(歯ぐきの後退・むし歯・クラック)をまず確認してください。ホワイトニングが原因ではない可能性があります。
- 特定の歯だけが異常に強くしみる、または一週間以上続く場合は、当院までご連絡ください。一般的なホワイトニングによるしみではない可能性があります。
ソウルBD歯科のムン・ソクジュン(文錫俊)院長です。しみが怖くてホワイトニングを諦めることも、しみを我慢して無理に続けることもないように、という思いで書きました。しみはコントロールできますし、対策をしてもホワイトニング効果はそのままです.
参考文献
この記事の医学的主張は以下の論文に基づいています。DOIをクリックすると原文に移動します。
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1
Journal of Dentistry DOI: 10.1016/j.jdent.2015.03.015
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2
Clinical Oral Investigations DOI: 10.1007/s00784-021-03994-6